
これまで安定していた検査結果が、わずか1〜2か月で大きく悪化することもあり、多くの飼い主さんがショックを受け、戸惑うケースも少なくありません。
リン値の急激な上昇は、腎臓病が急速に進行している兆候である可能性があります。
猫の腎臓病は、慢性的に進行する疾患です。
その中でも腎機能の悪化を加速させる大きな要因のひとつが「高リン血症(血中リン濃度の上昇)」です。
リン値が高い状態が続くと、二次性副甲状腺機能亢進症、食欲不振、嘔吐、さらなる腎機能の低下などを引き起こす可能性があります。
猫のリン値を継続的に管理することで、腎臓病の進行を抑え、生活の質(QOL)を大きく向上させることができます。
Greycoat Research:腎臓ケアに取り組む猫ちゃんのための、データに基づくサポート
2024年以降、Greycoat Researchは世界中の猫ちゃんに対し、1,000件を超える腎臓ケアのご相談をお受けしてきました。私たちのアプローチは、実際の保護者様のデータに基づき、信頼できる専門家の知見に裏付けられています。
- AIM医学研究所の宮崎徹博士による研究に基づいたサプリメント相談
- 韓国最高齢猫(28歳ミンキー)の保護者であるキム・ジェヨン博士からの実践的なアドバイス
- 猫の腎臓ケアに30年の経験を持つ小林基雄博士による臨床的インサイト
- 臨床薬学の専門家である申榮坤博士からのサプリメントおよび輸液療法に関するポイント
リン吸着剤はいつから使うべき?
血液検査の基準値と適切なタイミング
猫の正常なリン(リン酸)値は、一般的に 2.7〜6.2 mg/dL とされています。多くの飼い主さんは、この基準値を超えてからリン吸着剤の使用を検討し始めますが、早期の介入の方が効果的であることが多いです。
腎臓病ステージ2の猫では、まだリン吸着剤が必要ない場合もあります。
しかしステージ3以降になると、リン値が急激に上昇しやすくなるため、使用を検討すべき重要なタイミングとなります。
以下のような場合には、獣医師にリン吸着剤の使用について相談してみてください:
- 猫のリン値が基準値を超えている場合
- リン値がまだ基準内であっても、継続的に上昇傾向が見られる場合
腎臓病は進行性の疾患であるため、早期介入が猫の状態を安定させるために非常に有効です。
腎臓病の猫のための主要なリン吸着剤3選
セベラマー,フォスレノール,水酸化アルミニウム

ステージ2の腎臓病を抱える猫のTTちゃん
猫の腎臓病で使用されるリン吸着剤は、一般的に3つの主要なタイプに分類されます。それぞれ特性や投与方法が異なります。1. セベラマー(Sevelamer)
- カルシウムや金属を含まないリン吸着剤
- 長期使用でも比較的安全とされています
- 稀に消化器系の不調(腹部不快感など)を引き起こすことがあります
- 粉末または錠剤タイプが利用可能です
- 強力なリン吸着能力を持ちます
- 体内への吸収がほとんどなく、安全性が高いとされています
- 金属的な味があるため、一部の猫は拒否することがあります
- 錠剤は粉砕して与えることも可能です
- 非常に効果的なリン吸着作用を持ちます
- 一般的には液体タイプで提供され、投与がやや難しいことがあります
- 長期間の使用は推奨されません(アルミニウム蓄積のリスクがあるため) → 長期使用により、錯乱、ふるえ、食欲不振、嘔吐、便秘などの副作用が出る可能性があります
リン吸着剤を併用して効果を高める
セベラマー+フォスレノールの組み合わせが推奨される理由
猫の状態によっては1種類のリン吸着剤だけで十分な場合もありますが、2種類を併用することでより安定した効果が得られることがあります。
セベラマーとフォスレノールは、いずれも長期使用に適したリン吸着剤であり、
ベースとなる治療として組み合わせて使用されることがあります。
作用機序が異なるため、同時に使用することでリン値をより安定的にコントロールできる可能性があります。
- セベラマーは、腸内でリンと結合し、吸収をブロックします。
- フォスレノールは、リンを物理的に捕らえ、体外へ排出します。
1種類の吸着剤でリン値が上昇し続ける場合は、2剤併用を検討したり、
獣医師の指導のもと一時的に水酸化アルミニウムを追加するのも選択肢のひとつです。

腎臓病ステージ4の猫・将軍
この方法は、臨床の現場でも広く使用されている戦略です。グレイコートリサーチでは、ステージ4の腎不全を抱える猫「将軍(しょうぐん)ちゃん」がこの方法で良好な反応を示しました。
最初はフォスレノール単独で治療を行っていましたが、しばらくしてリン値の上昇が見られるようになりました。
そこで獣医師と相談のうえセベラマーを追加したところ、リン値が安定しました。
もし猫ちゃんのリン値コントロールが難しい場合は、リン吸着剤の併用療法について獣医師にご相談ください。
効果的な対策となる可能性がありますが、用量や投与タイミングは必ず獣医師の指示に従うようにしましょう。
カルシウム系リン吸着剤がリスクとなる理由
AIMタンパク質との関係性
カルシウムを含むリン吸着剤(例:炭酸カルシウム)は、血中カルシウム濃度を上昇させる可能性があります。これが、腎臓の健康に重要な役割を果たすAIM(アイム)タンパク質の働きを妨げる可能性があるのです。
日本のAIM医学研究所の宮崎徹博士によると、AIMタンパク質は腎臓から老廃物を排出する働きにおいて重要な役割を担っています。
しかし、血中カルシウム濃度が高くなると、AIMの活性が低下し、腎臓の炎症を悪化させる恐れがあるとされています。
このような理由から、非カルシウム系のリン吸着剤が、腎臓病を抱える猫にとってはより安全な選択肢と考えられています。
リン吸着剤を与えるコツ
消化器への負担を軽減し、嗜好性を高める工夫

食事中の猫
- 空腹時に与えないこと
- 嗜好性の高い腎臓用ウェットフードに混ぜる
- 必要に応じてシリンジ(注射器)を使用する
リン吸着剤は、ただ数値を下げるためのものではありません。
リン吸着剤は、ただ数値を下げるためのものではありません。目に見えない腎臓のダメージを抑える静かな防御線なのです。
毎日の食事の中での小さな選択が、
あなたの猫ちゃんの快適な暮らしと寿命の延長につながります。
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