慢性腎臓病の猫のために すべての飼い主さんに知ってほしい、水分補給の実践テクニック5選

📌 2024年以降、Greycoat Researchは世界中のステージ2および3の腎臓病を患う1,500匹以上の猫に対して、個別の1対1相談を提供してきました。
臨床データと実際の飼い主の経験に基づき、猫の慢性腎臓病を管理するための科学的かつ実用的なソリューションをご案内しています。

私たちの相談で最も多く寄せられるお悩みのひとつが、
**「うちの猫が水をあまり飲みません」**という声です。

今回は、多くの猫と飼い主さんを助けてきた効果的な水分補給法を5つご紹介し、
CKDの猫がもっと水を飲めるようになるための具体的な方法を詳しく見ていきます。

 

💧 なぜ水分補給がそんなに重要なのか?

腎臓病の猫は、体内の老廃物や毒素を十分にろ過することができず、尿を通じて過剰な水分を失いやすい傾向があります。
その結果、脱水症状、食欲不振、嘔吐、便秘、電解質のバランス異常などを引き起こす可能性があります。

そのため、水分補給は単に「水を飲む」ことではなく、
腎機能をサポートし、全体的な安定を保つための中核的な管理戦略と言えます。

 

✅ 1日の水分摂取ガイドライン

CKD(慢性腎臓病)の猫には、体重1kgあたり1日約50ml(約1.7オンス)の総水分を摂取することが推奨されています。
これには飲み水だけでなく、フードに含まれる水分や、水で溶いたおやつなどの補助的な水分も含まれます。

体重  推奨される1日の水分摂取量
3kg 約150ml
4kg 約200ml

 

🍽 フードに含まれる水分も忘れずに

フードの種類 平均水分含有量  100gあたりの水分量(目安)
ドライフード 約8〜10% 約8〜10ml
ウェットフード 約75〜80% 約75〜80ml

※ ドライフードは水分補給にほとんど貢献しません。

ウェットフードだけでも十分とは言えないことが多く、追加の水分補給対策が不可欠です。

 

💡 水分摂取を促すための実践的な5つの工夫

🥣 1. ウェットフードに水を加える
ウェットフードに水を2:1または1:1の割合で混ぜることで、猫の食事のリズムを崩さず、自然に水分摂取量を増やすことができます。
例: ウェットフード50g + 水25〜50ml
→ 猫の反応を見ながら、徐々に割合を調整してみましょう。

🍮 2. 舐めるおやつを使って“ご褒美水”を作る
お気に入りの舐めるおやつに水を加えることで、ご褒美としての水分補給ができます。
基本の割合: おやつ3〜5g + 水20〜30ml
→ これを1日2〜3回与えることで、1日あたり約60〜100mlの追加水分が期待できます。
徐々におやつの量を減らし、水の量を増やしていくことで、水そのものを飲む習慣へつなげることができます。

🌡 3. ぬるま湯(38〜40℃)を与える
猫は水温に敏感です。
体温に近いぬるま湯は香りが立ちやすく、飲みやすく感じる子が多いです。
特に朝一番や食後に与えると効果的です。

🍶 4. 広くて透明な器を複数の場所に設置する
透明なガラスの器は光を反射し、猫の視覚的な興味を引きやすくなります。
日光やライトが当たる明るい場所に設置すると、より効果的です。

猫はヒゲが触れる狭い器を嫌がる傾向があります。
→ ヒゲが当たらない広くて安定感のある器を選びましょう。
→ 浅くなくても構いませんが、猫が飲みやすい高さ・形状を心がけてください。

ティップス:

  • 透明なガラス製のボウルを使用する
  • ボウルは1日に1回以上きれいに洗う
  • 食器から離れた静かな場所に2〜3個のボウルを設置する

5. 蛇口から1〜2秒に1滴ずつ水を垂らす

猫は本能的に流れる水や滴る水に惹かれます。
蛇口を1〜2秒ごとに1滴ずつ垂れるように設定することで、遊びながら水分補給ができる環境を作ることができます。

ティップス:

  • 猫がよく行く場所(例:シンクやバスルーム)の近くに設置する
  • 夜間も安全に使用できるようにする
  • 猫用のファウンテンも効果的です。水が常に流れていることで関心を引き、飲水量が増える傾向があります。

 

🩺 水分補給が難しい場合 → 獣医師の指導のもとで皮下補液を検討しましょう

どんな方法を試しても水分摂取がうまくいかない場合は、獣医師から皮下補液(点滴)を勧められることがあります。
CKD(慢性腎臓病)ステージ2の段階でも、補液は大きなサポートになります。
特に以下のような症状が繰り返し見られる場合は、早期の対処が重要です。

  • 脱水症状
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 尿毒症の兆候

※ 獣医師の指導なしに、自宅で皮下補液を行うことは絶対に避けてください。

 

まとめ

水分補給は、慢性腎臓病(CKD)ケアの基本です。
愛猫の好みに合わせてさまざまな方法を試し、どの方法が合っているかを観察してみましょう。
最適な水分補給ルーティンを見つけることが、長期的な健康維持に大きく貢献します。

小さな工夫が、猫の腎臓ケアにおいて決定的な役割を果たすこともあるのです。

 

 

Our mission is to stop feline kidney disease

— Greycoat Research

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